こんにちは!絵描きの川原です。
アクリル絵の具で描いた作品
今回は古代ローマの美術についてお話していきます。
ギリシャ美術の良いとこどりをしたのが古代ローマ美術です。
古代ギリシャの美術では、《プロポーション重視のリアルで躍動的な肉体表現》を重視していましたが、ローマ美術は、モデルとなる人物が残した功績からイメージを膨らませ、人の内面を表現しようとした彫刻が多く作られました。
ローマ美術は紀元前5世紀頃から500年頃まで、古代ローマを中心にローマ帝国全地域で展開された美術です。
ギリシャ美術やエトルリア美術の影響から出発して、独自の様式を発展させました。
前回は、古代ギリシャの記事でいつくか彫刻を紹介しました。
しかしそのほとんどがローマ時代の模刻『ローマン・コピー』なんですね。
ギリシャ彫刻が身体表現における普遍的で理想的な『美』として
その後の西洋美術に大きな影響を与えることとなったのは、『ローマン・コピー』の功績です。
現在では古代ギリシャのオリジナルはほとんど失われており、
古代ギリシャの彫刻の研究は、ほぼ古代の文献と『ローマン・コピー』によって行われています。
古代ギリシャの美術に強い影響を受けた彫刻作品が多いことが特徴です。
古代ローマ美術の絵画
古代ローマ美術というと、彫刻や建造物が思い浮かびますが、
この時代の絵画で現存しているものがごくわずかで、古代ローマの歴史が900年あるうち
絵画は200年の期間のみです。
古代ローマの絵画作品は長らく現存しないものとされていました。
ヴィスヴィオ火山の噴火で街ごと灰に埋まってしまったポンペイの発掘のおかげで
古代ローマの絵画作品が見られるようになりました。
ローマ時代にこのポンペイという町は町全体丸ごと保存されました。
古代ローマの時代には世界最古の絵画技法『エンカウスティック』といわれる技法が登場しました。
これは蜜蝋といわれる「ハチの巣」と「顔料」を混ぜて作った絵の具のことをいいます。
油絵の具のような、艶とグラデーションがあり、
↓のような肖像画に用いられました。
これを18世紀のフランスのブルボン家が発掘しました。この技法は発掘当時のフランスで大流行しました。
ポンペイの他にヘラクレネウムも発掘され当時のヨーロッパが古代ブームになりました。
ポンペイのフレスコ画
ポンペイの絵画は赤い背景のものが多く、『ポンペイの赤』と呼ばれています。
石の壁や窓を描いただまし絵のような絵画も多く、この時代で絵画はインテイリアの一部だったようです。
『君主と哲学者』
古代ローマ美術の彫刻
古代ローマ美術は古代ギリシャ時代のクラシック期からヘレニズム期にかけての自然主義的な古代ギリシャ美術を継承・模倣したと言われています。
紀元前4~3世紀頃までの古代ローマ美術には、ローマ周辺に住んでいたエトルリア人の美術と
古代ギリシャ美術の両方の要素が含まれていました。
その要素とは、エトルリア彫刻から受け継いだ写実的、現実的表現です。
ギリシャ彫刻は人間離れした理想的なプロポーションの神様の像が多く作られました。
神様以外で彫刻になるのは、オリンピック選手や哲学者などでした。
これに対し、ローマ彫刻はどこにでもいそうな人たちがリアルに表現されました。
お金持ちなら彫刻にしてもらえたというのもローマ彫刻の特徴です。
ローマ帝国が発展するに従い、彫刻はよりモニュメンタル(記念碑)になっていきます。
↑これはコンスタンティヌス大帝の像です。全体で17m近くあります。
目は大きく強調され、皇帝の威厳が表現されています。
この目を大きく作る様な表現はのちのビザンティン美術に継承されていきます。
ブルータス胸像
プリマ・ポルタのアウグストゥス
古代ローマ美術の建築
ローマはギリシャを含む地中海沿岸の国々を征服しましたが、文化的にはローマはギリシャに
征服されたようです。
有名なコロッセオやアッピア街道にはコンクリートが使われていました。
『通称ローマン・コンクリート』
しかも現在のコンクリートより堅牢な材料を使っていました。
このおかげで、多くの遺跡が今現在も残っているんですね。
アーチ構造の建築も重要なポイントで、広い室内を持つ大規模な建築が可能になりました。
それまでは、パルテノン神殿のようにたくさんの柱がないと、屋根を支えらえませんでした。
柱の数が多ければ多いほど、室内空間は狭くなります。
まとめ
今回は古代ローマ美術のについてお話してきました。
ローマ美術の特徴をまとめると
・エンカウスティックによる写実的な絵画表現
・現実的な人間をテーマにし造形芸術で表現
・実用的な優れた建築技術
といった感じですね。
ローマ時代の人々の暮らしが垣間見れるような作品があり
見ていてとても楽しいですね。
次回は初期キリスト教美術について
お話していきます。
それでは次の記事でお会いしましょう!
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