アクリル絵の具で描いた作品
こんにちは!絵描きの川原です。
今回は『ファン・エイク』という画家について、わかりやすく解説していきます。
ファン・エイクは、『油絵の具』を初めて絵画に使った画家として知られています。
それまではフレスコ画やテンペラ画が主流でした。
ファン・エイクについて知りたい方は是非この記事を読んでみてください!
ファン・エイクってどんな画家?
ヤン・ファン・エイク
1395年頃‐1441年7月9日
『初期フランドル派』のフランドル人画家です。
フランドル地方とは現在のオランダ、ベルギー、フランスのまたがる地方です。
ベルギーのブルッヘという町で活躍した画家で、国籍はベルギーです。
ファン・エイクという画家は、記録に残っている部分が少なく謎が多い画家で、
実際、詳しくわかっている部分が少ないです。
特にファン・エイクが若い頃の活動記録はほとんどないんですね。
ブルゴーニュ公フィリップ3世の宮廷に仕え始めます。
フィリップ善良公に迎えられた1425年頃からの記録は残っています。
生涯、宮廷画家として生活を送っていたんですね。
ファン・エイクは宮廷画家だけでなく従者としての役割も与えられていて、
一般的な宮廷画家よりも更に地位の高かったことがわかります。
フィリップ3世はファン・エイクを高く評価しており、側近としての役割を与えていたくらいです。
ということは、ファン・エイクはエリート中のエリート画家だったんですね。
フーベルトとヤンの兄弟
【ヘントの祭壇画】1432年 ファン・エイク兄弟 ベルギー、シント・バーフ大聖堂
ヤン・ファン・エイクには、実の兄がいてフーベルト・ファン・エイクがいました。
兄はフーベルト・ファン・エイク
弟はヤン・ファン・エイク
ランブール地方に生まれたヤン・ファン・エイクは兄のフーベルトと共に画家の道へ進みます。
フーベルトは地元で親方として活躍していました。
ファン・エイクが描いた祭壇画がありますが、その中でも初期フランドル派最大・最高の傑作である【ヘントの祭壇画】という絵です。
この【ヘントの祭壇画】は兄フーベルト・ファン・エイクとの共作です。
シント・バーフ大聖堂のヘント祭壇画を制作していたところ、
制作途中でフーベルトは亡くなってしましました。
祭壇画はヤンが引き継いで完成させたんですね。
しかし兄フーベルト・ファン・エイクという人物は、弟ヤン以上に謎の多い画家で、
実際に存在していたのかどうかも怪しいと言われていました。
フーベルトが唯一残した作品はこの【ヘントの祭壇画】のみだからです。
現在は実際に存在した人物ということです。
絵画に革命を起こした『油彩画』を完成させたファン・エイク兄弟
【ファン・デル・パーレの聖母子】1434年-1436年 ブルッヘ グルーニング美術館
イタリア・ルネサンス期の絵画と比べてとても緻密で、技術的レベルが高いのが特徴だといえます。
西洋絵画が立体感のある表現を獲得できたのは、15世紀初頭にフランドル派のファン・エイク兄弟が大成した『油絵具』のお陰なんですね。
それ以前の西洋では、壁画はフレスコ画、持ち運べる板絵(タブロー)は、テンペラ画で描かれていました。
鉱物の粉などから作る顔料で着色する点は油絵と同じですが、顔料を定着させる方法が違います。
フレスコは、英語の『フレッシュ』と同語源のイタリア語です。
壁に塗った漆喰が生乾き(フレスコ)の間に水で溶いた顔料で描く技法で、
漆喰自体が顔料を定着させる糊の役割を果たします。
顔料の発色がいいのですが、やり直しがきかないんですね。これが難点です。
フレスコ画
テンペラもイタリア語でてんぷらの語源ともいわれるポルトガル語と同じく『混ぜ合わせる』という意味です。
卵黄や卵白、卵黄に油や水を混ぜたマヨネーズ状の乳化物などで顔料を練って描きます。
発色が良く耐久性にも優れ、乾きも早く多少の塗り重ねも可能な技法です。
と少し脱線してしまいましたが、
テンペラ絵具は乾きがすごく速いので、グラデーション表現には向いていません。
テンペラ画
こうしたデメリットを改善するためにヤン・ファン・エイクは、
兄のフーベルトと共に油絵具を開発しました。
油彩技法を完成させた人物として有名です。
ではなぜ油絵はこんなにリアルに描けるのか?
それは油絵具特有の『乾燥の遅さ』と『透明感』にあります。
乾燥が遅いため、絵具を画面上で混ぜたり伸ばすことで、
自然な細かいグラデーションが作れるんですね。
ヤン・ファン・エイク代表作
ヤン・ファン・エイクの代表作と言えば【アルノルフィニ夫婦の肖像】です。
この【アルノルフィニ夫婦の肖像】と呼ばれる作品は、ファン・エイクの代表作として非常に有名な作品です。美術の教科書や西洋美術の本などに必ずと言っていいほど載っています。
この絵には、イタリア人銀行家夫妻の結婚にファン・エイク自身も立ち会った場面を描いたものです。
この絵をよ~く見てみると、凸面鏡中央に映っている夫妻のほかにファン・エイク自身が描き込まれていて、周りを囲む丸の全てに『キリストの受難』が描き込まれています。
すごい緻密な描写力ですね。
まとめ
今回は『ファン・エイク』という油絵具を開発した画家についてお話していきました。
ファン・エイク兄弟がいなかったら油絵はなかったかもしれません。
油絵がなければルネサンス期など次の時代に影響が出ていたかもしれません・・・。
では今回はここまでにします。
ほかの記事でお会いしましょう!
コメントを残す