アクリル絵の具で描いた作品

こんにちは絵描きの川原です。
今回はバロック期の巨匠『カラヴァッジョ』についてお話していきます。
イタリアバロックで最も有名な画家カラヴァッジョ。
劇的な光で生々しいほどリアルな絵を描きます。
さて今回の記事では、強烈な明暗対比と劇的な構図を確立した巨匠『カラヴァッジョ』について
一体どんな画家だったのか、どのような作品を制作したのかをお話していきます。
カラヴァッジョとはどんな画家?

本名:ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ
生没年:1571年9月29日‐1610年7月18日
生まれた場所:ミラノ
活躍した場所:ローマ、ナポリ、マルタ、シチリア
性格:気性難で殺人犯
イタリアを代表する画家の一人で、バロック絵画の巨匠としてローマ、ナポリなどを中心に活動していました。
一般人をモデルに、理想化せず『見たまま』を描くリアリズムで19世紀の写実主義をも先取りした偉人です。
1571年にミラノで生まれました。
ペストの影響から近郊のカラヴァッジョ村で過ごします。
『カラヴァッジョ』は父親の出身地であるミラノ近郊の村の名前です。
1592年までは故郷であるミラノ近郊で生活していましたが、
ある日喧嘩をして相手にケガさせてしまったことからローマへ逃亡します。
ローマに出るや一躍、人気画家となりますが、激しすぎる画風と娼婦をモデルに聖女を描くリアリズムには賛否両論でした。
1600年頃にはローマで最も有名な画家といわれるようになりました。
私生活ではかなりのトラブルや問題を抱えていた人物でもあります。
毎晩、酒場で暴れて器物破損などで警察沙汰は数知れず、
1606年には賭けを巡る喧嘩で相手の若者を刺し殺してしまい、
殺人罪で指名手配されてしまいます。
それから4年間イタリア各地を逃げ続ける事になります。
逃亡生活の間もカラヴァッジョは筆を止めることなく、絵を描き続けました。
逃げ続けた彼は、ヨハネ騎士団の『騎士』となっていました。
しかし騎士として仕事をしていても、騎士のメンバーと喧嘩を起こして投獄されたりしていたそうです。
生涯に渡ってこうした荒々しい生活は治ることはありませんでした。
その後作品と引き換えに教皇の恩赦受けられると聞いたカラヴァッジョはローマに戻ろうとしました。ようやく許しが出た直後に熱病に罹ってしまい、ローマへの道半ばで亡くなってしまいます。
カラヴァッジョ38歳。
彼のキャリアは十数年ほどと短いものでした・
衝撃的なまでに斬新な画風
この時代のミラノは、芸術的な賑わいは落ち着いていて盛んではありませんでした。
そこで芸術の盛んなローマに旅立つことになりました。
当時名のある画家の工房で助手として絵を描くようになり、
この頃に制作した『果物籠を持つ少年』『果物籠』は緻密な描写が評価され
カラヴァッジョの作品に注目が集まり始めました。
またカラヴァッジョは初めて静物画を描いた画家としても有名なようです。
それまでは物が絵の主役になることはありませんでした。
【果物籠を持つ少年】1593年‐1594年 ボルゲーゼ美術館 ローマ
【果物籠】1595年‐1596年 アンブロジアーナ絵画館 ミラノ
それでも17世紀初頭にあって衝撃的なまでに斬新で常識を覆したカラヴァッジョの作風は、
イタリアはもちろんローマを訪れたルーベンスやオランダの若い画家たちの間に
『カラヴァジェスキ』と呼ばれる信奉者を生み、西欧中で多くの追従者を生み出し大流行しました。
激しすぎる明暗対比表現は『テネブリズム(暗闇主義)』と呼ばれました。
レンブラントやフェルメール、ベラスケスなどバロック絵画の巨匠たちに決定的な影響を与えました。
母国ではダ・ヴィンチらと並び称される巨匠で、リラ紙幣に作品と肖像画が使われました。
しかし『殺人者なのに』と賛否両論を生みました。
カラヴァッジョの名は、死してもなおバロック的な光と闇に彩られているんですね。
【リラ紙幣】
カラヴァッジョの肖像と果物籠がデザインされていた10万リラ紙幣
作品集
【病めるバッカス】1593年 ボルゲーゼ美術館 ローマ
【トランプ詐欺師】1594年 キンベル美術館
【ホロフェルネスの首を斬るユディト】1598年‐99年 国立古典美術館 ローマ
【ダヴィデとゴリアテ】1599年 プラド美術館 マドリード
【洗礼者聖ヨハネの斬首】1608年 聖ヨハネ准司教座聖堂
【洗礼者ヨハネの首を持つサロメ】1609年 マドリード王宮
【ゴリアテの首を持つダヴィデ】1609年‐10年 ボルゲーゼ美術館 ローマ
まとめ
今回はバロック期の巨匠『カラヴァッジョ』についてお話してきました。
カラヴァッジョがどのような人生を歩み、どんな作品を遺したのかわかりやすく解説してみました。
とても強烈な明暗対比表現で劇的な構図など、バロック絵画の巨匠たちに決定的な影響を与えました。
では今回はここまでにします。
次回はルーベンスについてお話していきます。
また次の記事でお会いしましょう!
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