絵の具って何からできているの?絵の具の原料と種類について解説します。

こんにちは!絵描きの川原です。

箔とアクリルの作品

今回は絵の具の原材料と種類についてお話していきます。

私たちが普段使っている絵の具って、何が原料でなぜ色がついていて
チューブの中に入っているの?わからないことだらけです。
今回はここを掘り下げていきます。


まず絵の具は何からできているのでしょうか?

【顔料】+【糊(バインダー)】=絵の具です。
色のついた粉に糊を合わせると絵の具になります。

 

 

絵の具の原料①顔料

顔料とは、水や溶剤に不溶の粒子性を持った個体なんですね。
簡単に説明すると色の粉です。
顔料の種類により何色かが決まります。

絵の具の種類にあまり関係なく、使われる顔料は同じです。
顔料は、天然の土や鉱物、科学的に合成したものでできています。

顔料の特徴
・油、水に溶けない
・溶けないので描きやすい。
・耐光性があるので作品が長持ちする。
 というのがあります。

 

顔料のほかに【染料】というものもあります。
こちらは【顔料】と比べて【染料】は水に溶けます。

【染料】の特徴
・油、水に溶け込む。染みるので描きにくい。
・染料の上から描くと上に塗った色材に溶ける。
・色を重ね塗りできない。
・耐光性がないので、色が褪せやすい。作品の保存には向かない。
・顔料と比べて色が鮮やか。

 

 

絵の具の原料②糊(バインダー)

顔料は、水に溶けないので、顔料を練り合わせて定着させるための【接着剤】が必要になります。
バインダーは(展色材)や(メディウム)といい、糊の役割をしています。

バインダーには「アクリル絵の具」「油絵具」「水彩絵の具」などの種類が決まります。
「アクリル樹脂」「アラビアゴム」「ポピーオイル」「リンシードオイル」などがあり、
それぞれの性質により水溶性になったり、油性になったりします。

今現在だと、画材屋に行って絵の具を買って、好きな色の絵の具をチューブから取り出して、
混色してパネルに塗ってと簡単に絵を描くとこができます。

その昔、絵の具のチューブが出回る前1840年頃までは、
絵を描く際は顔料と糊を混ぜることから始めていました。
なんと絵の具を自作していたんですね。

顔料を砕いて粉にして、バインダーと混ぜて絵の具を作ってから絵を描き始めます。
昔は絵を描き始めるまでが大変で、しかも大量に作れなかったんですね。
まだ絵の具の保存方法が確立されていなかったからです。

 

 

 

絵の具の種類①アクリル絵の具

 

【顔料】+【アクリルエマルジョン】=アクリル絵の具

アクリル絵の具はアクリル樹脂や合成樹脂で作られた近代の絵の具です。
絵の具の使い方、メディウムの使用などにより、油絵や水彩風に書ける様々な描き方が可能です。
扱いやすいのも特徴の一つです。
水で溶いて描きますが、乾くと耐水性になります。

 

 

絵の具の種類②水彩画用絵の具

 

【顔料】+【アラビアゴム】=水彩絵の具

水で溶いて描きます。
主に顔料とアラビアゴムで作られています。
水溶性のアラビアゴム樹脂を用いています。
水溶性で固まった後も水で再び溶けます。
水分が蒸発して固化するので、絵の具の容積や色調が変わる場合があります。

 

 

絵の具の種類③油絵具

 

【顔料】+【油】=油絵具

油絵具は、ポピーオイルやリンシードオイルなどの乾性油と
顔料の組み合わせからなっています。
油絵具は酸素と油が結合する酸化重合という化学反応で固化します。
かなり強い強靭な塗膜が形成され、様々な表現方法ができます。

 

 

 

絵の具の種類④日本画用絵の具

 

【岩絵の具、顔料】+【膠】(にかわ)=日本画用の絵の具

岩石から砕いた粉、膠(にかわ)接着剤として溶いて定着させます。粒子の大きさで番手が分かれています。
日本画は歴史が古く、洋画に比べて陰影がなく平面的です。
また金などの金属材料(金箔)を画材として効果的に取り入れています。

 

 

絵の具の種類⑤テンペラの絵の具

 

【顔料】+【卵黄】

油絵具が生まれる前に使われていた絵の具で、粉末状の顔料と卵で混ぜ合わせて作られていました。
卵の他にカゼイン(タンパク質の1種)、または膠の3つの種類があります。
一般的には、卵を使って描くのがテンペラ画の主流です。

 

 

まとめ

今回は「絵の具の原料と種類」についてお話してきました。
簡単ではありますが、【顔料】+【糊】=絵の具でした。

1つは絵の具の種類の違いは【糊】が違うということです。
もう1つは糊の定着のしやすさに合わせて適した基低材があるという
この2つです。

それぞれの絵の具も色によって価格が違う理由や、アクリル絵の具、油絵具、
水彩絵の具などの違いなど、絵の具に対する疑問が解決されたのではないでしょうか。

では今回はここまでにします。
また次の記事で会いましょう!

4件のコメント

ご連絡方法が分からずコメントにて失礼いたします。
絵の具について自由研究中の小学生をもつ保護者です。
自分で絵の具を作り、普段使っている絵の具と比べようというテーマを中心に取り組んでおり、調べる上で川原様のこちらの記事が大変分かりやすく、拝読しながら子供に説明させて頂きました。

大変不仕付けな申し出ではございますが、研究をまとめた折に参考資料としてブログ名とお名前を記載させていただいても宜しいでしょうか?
(ブログ内の画像やテキストの転用は致しません)
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、ご検討のほど宜しくお願いいたします。

はじめまして、絵描きの川原です。
連絡先記載しておりませんでした。申し訳ありません。

コメントありがとうございます。
是非参考資料としてお使いください!
ブログ名と私の名前も使っていただけたら幸いです。

専門的用語ばかりで分かりづらいところもあるかもしれません。(苦笑)

連絡先Ⅹのアカウントはこちらになります。
@HIT_art_3

ご連絡ありがとうございます。

ご返信ありがとうございます。
また記載に関しましてご快諾重ねて御礼申し上げます。

当人はまだ読めない漢字も多い年齢の為、用語も含めお話しながら拝読させていただきました。
私自身、描画についての技法や歴史を学ぶ機会は多かったのですが今回、画材を深く紐解く機会に至りとても楽しく学ぶことができました。

末筆ではございますが、画家としてのご活動も心より応援しております。

ご連絡ありがとうございます。
私も勉強中で学ぶことがまだまだたくさんあります。
微力ではありますが、少しでもお力になればと思っております。
応援ありがとうございます!

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